13℃前後で抜栓し2時間くらい置く。温度調整をしながら15~16℃ぐらいから
スタートした。このワインは非常に高い評価と偉大なヴィンテージのために、
高価で希少なワインになってしまった。とても興味が涌き飲んでみることに
した。
グランクリュクラスのグラスに入れ、掌で包み、スワリングしながら香り・
味を調整した。赤紫がかった濃いガーネット色、深紅の薔薇、菫、プラム、
ダークチェリー、ラズベリー、ブラックベリー、桃、マンゴー、赤身肉、レザ
ー、グリーンペッパー、リコリス、ナツメグ、メース、オレガノ、タイム、クロ
ーブ、バニラビーンズ、ベルガモット、焦がした樽、腐葉土、黒い土、ミネラ
ル、真のグランクリュはやはり品格が違う。赤紫がかった鮮やかな色合いに
期待感が高まる。グラスに鼻を近づけなくても湧き上がるように香り立って
くる。深紅の薔薇や菫などの濃く鮮烈な香りにむせ返るくらいだ。凝縮され
た甘いフルーツのアロマが一気に解き放たれたように口一杯に広がってくる。
それだけで目を丸くしてしまった。物凄い質感と存在感を持ち、圧倒的なる
パワーで迫ってくる。肉系のコク・ボディ、ハーブの複雑さ、底辺を支える
土系、ミネラルのニュアンスと当然素晴らしいのだが、そんな通り一遍な物
ではなく、甘くパワフルで凝縮されていて、軽やかで爽やかでエレガント。
透き通る様な透明感と深淵さを持ちながら、味わい深くジャミーで噛み応え
がある。本当にこのクラスはバランスと品格が違う。雰囲気が、トーンが全
く違う。手の届かないような崇高さを持ちながら、実に美味しい。こんな物
があるから2002は凄いと言われるのだろうか。卓抜した真のグランクリュ。
こういう物があるからワインは怖い。時間と共にグラスの中で蛹が蝶になり
羽根を広げるように、鮮やかに艶やかに開いていく。最後は花の香りとミネ
ラルの透明感が絡み合いながら清らかに昇華するように伸びていくアフター
へと繋がっていく。2002を代表するトップクラスのワインであることが納得
出来る逸品です。慌てずに静かに時間を掛けて上手くワインを開かせてくだ
さい。こういうワインに巡り会える時は、ワイン屋である事にとても幸せを
感じます。 H17.09.17